ピアノとギター、習い事としての違い|ピアノは「音学」、ギターは「音楽」
2026年10月14日
ピアノもギターも素晴らしい楽器です。人生を豊かにしてくれます。
弾いてみたいな~、習ってみたいな~。そうですよね。人生一度は華麗に弾きこなしてみたいものです。
私もピアノが弾ければどんなに良いか……と思いながらも、全く練習はしていません。練習する気にならないからです。だって難しいんだもの。
ピアノが弾ける方も、同じ思いなのでは?
ギターカッコいいやん……難しそう……じゃあいいや。ピアノ弾けるし。
ギター側からもピアノ側からも、そういう見方をされがちなんだと思います。両方弾ける人は、相当な音楽好きか、相当な努力家なんだろうな。まさに天が与えた「努力できる才能」ってやつです。
さて、本題です。
結論:ピアノは「音学」、ギターは「音楽」
習い事としてのピアノとギターの違いを、先に結論から書きます。
- ピアノ……音学
- ギター……音楽
ピアノは楽譜が最重要
ピアノは左手で和音、右手でメロディが弾けます。
「はい!じゃあね、左手はドミソ、右手はド~レミ~ドミ~ドミと弾いてみようか。場所はね、ここ。そうそう。指番号はこうね。音符とリズムはほら、楽譜を見て。お~弾けたね~^^」
ピアノは教材として楽譜が最重要です。楽譜を見て理解し、鍵盤を押せば音楽になります。子供でも鍵盤を押せば音が出るので、あとは楽譜の音を鍵盤に置き換えること、そして両手の指を効率的に使えるよう、ゆっくり少しずつ難易度を上げながら、間違えずに弾けるよう修練を重ねるのです。
ギターは、最初に音が出ない
ギターは、ピックでメロディとコードを同時に弾くことができません。(指弾きなら可能ですが、それなりのコツが要ります。)
「はい!じゃあCコードを弾いてみようか。この絵を見て。こことここを押さえて……形は出来たね。じゃあ右手で上から2本目から弾いてみようか……グギャピキポコ……うんそうだね。音出ないよね。泣いちゃったね。指痛かったね。ごめんね。じゃあもっと簡単なのから始めてみようね。」
ギターを教えるのは大変なんですよ。最初は音が出ないのですから。指が痛いとクレームになるし、全然上手くならない!音が出ない!楽しくない!というのもクレームになります。
「そんなの本人の努力次第でしょ!プンプン。」
なんて言ってしまったら身も蓋もありませんし、私は絶対にそんなことは言いません。そこからどう興味を持たせるか。飽きさせないか。上達させるか。そこが先生の腕の見せ所なんです。
ギターは、音を出すことが最優先で、音を楽しむことが第一の目的です。
「ここがドだよ。押さえてごらん。じゃあ押さえたままピックで弾いてみようか……ポコ……」
普通は、全然楽しくない!ってなるんですよ。
家庭用ゲーム機のボタンが一つ壊れていたらどうですか? ゲームしなくなるでしょう?
ギターは、音が出て、その音を楽しめるようになるまでに、かなりの時間が掛かります。だからギターは、音を楽しむことが最優先の「音楽」の楽器なのです。音を学ぶ「音学」は、ずっと後で良いのです。
ギタリストの多くは、理論を知らなくても弾いている
私の経験では、ギタリストの多くは音楽理論を体系的に学んでいません。それでもギターをカッコよく弾いています。ドレミなんて知らなくても、ギターは弾けるし楽しめるのです。
ギターは音楽なんです。
ピアノは押せば鳴る、ギターは意思がないと鳴らない
ピアノは押せば音が出ます。猫が乗っても音が出ます。もちろんプロの演奏者が弾けば全く違う音色が奏でられますので、誤解のないように。
ギターは、音を出す意思がなければ音になりません。猫が指板に乗っても音は出ません。
演奏者が「ここを押さえて、この弦を選んで、このくらいの力で良い音を出すぞ!」と強く思い、その意思が脳から神経を伝わって電気信号として筋肉に届き、やっと音が出るのです。その神経伝達でさえ、かなりの修練を積んでいなければ、微妙な感覚を伝えられません。
ですから、上達しないからといって、自分やお子さんを責めないでください。一つの音、一つのコードの音が出て、その音を楽しめるようになってから、上達云々を語るべきなのです。
ギタリストが一番困る一言:「なんか弾いて」
ギタリストとして一番困ることがあります。
それは……「なんか弾いて」。
え?
ギタリストには音楽の趣味があります。それはジャンルです。メタル好きなギタリストに「なんか弾いて」と言えば、メタルの速弾きが返ってきます。メタルを知らないあなたは「……なんかよく分からんが凄いね」。ブルース好きならブルースを弾くでしょう。ファンク好きなら16ビートのカッティングを。
米津玄師やYOASOBIを弾いてくれるとは限りませんよ。それをあなたは受け入れられますか?「禁じられた遊び」や「ちょうちょう」や、何か素敵なものを期待していたなら、それは違います。
ギターは完全に個人の趣味の楽器です。自分の好きなジャンルを、自分が楽しみたいから弾くのです。
ジェイズギタージムは、曲やジャンルを押しつけません
吉祥寺ジェイズギタージムでは、曲やジャンルの押しつけはしません。弾きたい曲が弾けるようになり、人生がもっと豊かになるようなギターを教えています。「音学」は、そこから先。必要になって、知りたくなったら教えています。
最初に「音楽」ありき。それがギターです。
第三者に聴かせるなら
自分自身が上達の果実を得たい、他人の評価を得たいのなら、人に伝えるための「音楽」を学びます。人前で演奏する、家族に楽しんでもらいたい……など、第三者のためにギターを弾くことで成果を得られ、それが練習のモチベーションにもなります。(当教室で以前行っていた発表会のあとは、生徒さんたちの技術の向上が顕著でした。)
その場合は、誰もが感動する曲、誰もが知っている曲を選ぶことが重要です。ただ、先ほど書いたとおり、ギターはメロディとコードを同時に弾くのが難しい楽器です。第三者に聴かせるなら、次の3種類から選ぶことになります。
- 弾き語り(アコギ・エレキ)
- ピックを持たず指弾きで、コードとメロディを同時に弾く(アコギ)
- アドリブ、もしくはコピー(エレキギター)
それを選ぶのは、あなたです。第三者ではありません。当事者であり、演奏者であり、音楽を楽しむあなたが決めることなのです。
演奏方法が決まったら、曲を決めます。あとは練習あるのみ。ある程度できるようになったら、第三者に披露して評価をもらいましょう。
その先どうするかも、あなた次第です。
- もっと上手くなりたい!
- 音楽理論を知りたい!
- 別のジャンルに挑戦したい!
そういう思いが湧き上がってきたら、しめたものです。是非ご相談ください。
いや……別にこのまま楽しく弾ければいいので……
それもありです。マイペースで弾き続けてください。ギターは、気軽で、持ち歩けて、場所も取らず、楽譜が読めなくても音楽ができる。音楽を楽しむには最適な楽器です。最高じゃないですか。
ピアノが厳しいのは、大正解
ピアノもギターも素晴らしい楽器です。
ただ、「ピアノを習っていたけど、先生が厳しすぎて面白くなくなったからギターを始めた」という方が多いのも事実です。
そりゃそうです。ピアノは「音学」、ギターは「音楽」ですから。
ピアノは、最初から楽譜を見ながら学ぶことが大事です。だって間違えたら音楽にならないのですから。過去の偉人たちが作曲した素晴らしい曲を間違えるとは何事か! なんて、大袈裟ですが、自分ならそう思います。
ギターの場合は、「間違えた? まあええやん。知らんけど。間違えたの分かったの? すごいやん」てな感じでアバウトなんですよ。まあ、間違えたら楽しくないので、あとでこっそり練習するんですけどね。
ピアノを馬鹿にしているのではありません。楽譜どおりに弾かなければ楽しくないし、音感が狂ってしまうのも怖いので、ピアノは厳しいくらいがちょうどいい。それが大正解なんです。
ギターはもともとチューニング自体があやふやな楽器です。指の痛みさえ克服できたなら、「よく我慢したね!」と自分を褒めてあげられる程度の楽器なのです。そのうちに、しっかりした音感、リズム感、演奏力が身についてきます。求めるなら、の話ですが。
いずれにせよ、楽しみたいなら遊び感覚で。極めたいなら、相当な覚悟を持って挑む。どんなことでも、これは不変です。
以上、ギターとピアノの違いについてのお話でした。
この記事を書いた人
吉田”鉄弦”ジロー。吉祥寺ジェイズギタージム代表。個人としてのギター指導歴は20年以上、指導した生徒さんは1,000人以上。吉祥寺での教室運営は10年以上になります。